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大型設備基盤センター 物理・表面計測系

質量分析室 注意事項

質量分析測定依頼の皆様へ

最近の測定依頼の中に、質量分析試料として不適当なものが目立ってきています。質量分析を十分に理解しないままに試料を持参する学生が増加しているためと思われます。それで、MSスペクトル測定における注意事項を、NMRスペクトルとの対比等も含めながら、以下に説明します。
以下の理由で、試料は非常に高純度であることが要求されます。

1.一般に混合物のMSスペクトルは試料組成を反映しません。

5%の不純物が含まれている場合、NMRでは、95:5のピーク面積比で混合物のスペクトルが得られます。すなわち、プロトンNMRでは試料中の水素原子数に比例したピークが観測されます。しかしMSでは、主成分のピークが副成分のピークより大きくなるという保証はまったくありません。その理由は、MSでは、分析計内で化学反応が起こっているためです。

(a)分子は、イオン化室で電子を1個失ってカチオンラジカルとなります。この分子イオンの生成しやすさは、化合物ごとに異なります。例えば直接導入法を用いて電子衝撃法によって分子イオンを発生させている場合を考えてみます。5%の副成分が主成分より気化しやすい場合、この成分が主としてイオン化されて、実際に得られたスペクトルでは、この副成分に由来するピークばかりが観測されてしまうこともあります。
(b)生成した分子イオンの安定性は、化合物ごとに異なります。分子イオンが不安定なため、分子イオンピークが非常に小さかったり、あるいはまったく観測されない化合物も稀ではありません。そのような場合、微量の副成分の分子イオンが安定であれば、それがあたかも主成分であるかのようなスペクトルが得られてしまいます。

原則としてオペレーターは単一化合物を仮定して測定を行っていますので、得られたスペクトルが試料の組成を正しく反映していなくても、それはオペレーターの責任ではありません。測定中に、スペクトルパターンが時間とともに変化することに気付いた時は、複数のスペクトルをアウトプットしたり、予想分子式に合致するようなスペクトルをアウトプットできるよう努力する場合もあります。しかし、そのような測定は著しく時間を消費しますので、通常はオペレーターがそのような配慮のもとに測定を行っていない点を了解しておいてください。



2.不純物を含む試料は分析計にとって極めて有害です。

NMR測定では、試料は試料管内にあって、破損事故等が起こらない限り、試料が装置と直接に接触することはありません(勿論、試料管の外壁の汚れにも十分な配慮が必要ですが...)。

しかしMS測定では、分析計内で試料分子のイオン化によって始まる複雑な反応が起こり、その結果生成する混合物のイオン組成を測定しています。不純な試料の場合は、一般に、高分子量、難揮発性、高極性の不純物を含んでいることが多いので、それらの成分やその分解物が、イオン化室や分析管の内壁等に付着して、スペクトルのバックグラウンドを高くするとともに、分解能を低下させる原因となります。

これらの不純物のチェックは、測定依頼者の方で、厳密にやっていただかないと、オペレートする側としては、有効な対策がありません。

         
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